― 何もしていないのに、席が埋まっていった夜 ―
はじめに
石原裕次郎について語られる話には、
不思議と似たようなものが多くあります。
それは、
「気がつくと、人が集まっていた」
という話です。
大声を出したわけでもなく、
誰かを呼びつけたわけでもない。
それでも、
なぜか人が増えていった。
今回は、
そんな石原裕次郎の周りで起きていた
静かなエピソードを一つ書いていきます。
背景
― 昭和の大スターだった頃 ―
昭和の映画界で、
石原裕次郎は特別な存在でした。
主演作は次々と話題になり、
テレビや雑誌にも頻繁に登場する。
ただ、
本人は意外なほど
前に出て話すタイプではなかった
とも言われています。
どちらかといえば、
静かに座り、
周囲の話を聞いていることの方が
多かったそうです。
その夜
― ほんの小さな集まりから ―
ある夜、
仕事終わりに
関係者数人で食事をしていた
と語られています。
最初は、
本当にささやかな集まりでした。
数人がテーブルを囲み、
石原裕次郎も
その中の一人として
特別な様子もなく座っていた。
大きな話題があったわけでもなく、
派手に盛り上がっていたわけでもありません。
少しずつ変わっていく空気
時間が経つにつれて、
席が一つ、また一つと
埋まっていったそうです。
「裕次郎がいるらしい」
そんな話をどこかで聞いた人が、
ふらっと顔を出す。
誰かが呼んだというより、
自然に人が流れ込んできた、
そんな感じだったと
後に語られています。
本人は、何も変わらなかった
不思議なのは、
その間も石原裕次郎本人は
特に何も変わらなかったことです。
場を仕切るわけでもなく、
話を引っ張るわけでもない。
ただ、
静かにそこにいた。
それなのに、
気づけば席は埋まり、
最初の倍以上の人数になっていた
とも言われています。
周囲が後から感じたこと
後になって、
その場にいた人たちは
こう振り返っています。
「何をしたわけでもない」
「特別なことを言ったわけでもない」
「でも、空気が変わっていた」
誰かが盛り上げたのではなく、
人が集まることで、場ができていた。
それが、
石原裕次郎の周りでは
珍しくなかった、
という話です。
なぜ、この話が残っているのか
このエピソードは、
派手な出来事があった話ではありません。
大金を使ったわけでも、
豪快な行動をしたわけでもない。
それでも、
今も語られているのは、
「理由が分からないまま、印象に残った」
人が多かったからかもしれません。
おわりに
石原裕次郎については、
さまざまな逸話があります。
その中でも、
こうした静かな場面が
今も語られているのは、
彼が何かをしたからというより、
そこにいただけで、空気が変わった
と感じた人が多かったからなのでしょう。
今回は、
石原裕次郎の周りに
なぜか人が集まり続けた話を
一つのエピソードとして書きました。
大きな事件ではありませんが、
後になって思い出すと、
なぜか忘れにくい。
そんな種類の話です。